始動。
いよいよもおすけ始動!!
と思っていたら、一時帰国している妹・みっこからメール。
来週の信州への来訪、互いに楽しみにしていたのに体調を崩し中止に。
会うのは二年ぶり以上だったのに。
お蕎麦も松本歌舞伎も、楽しみにしていたのに。
せっかく無理言って4連休も頂いたのに、来れなくなってしまった。
み:『信州のどこへ行く、とかでなくても 居られるだけできっと嬉しい。』
と、みっこも楽しみにしていたのに。
残念でたまらない。
少しでも良くなって、残りの滞在時間を楽しめたらいいんだけど。
そんな大縦走前にペコリンコしてしまったもおすけの、五竜~唐松縦走。
本日完結編です。
【おさるのもおすけ日記】2014年4月ソロ残雪五竜~唐松・完結編
2014 4 28
当たり前だが、登ってきたからには降りねばなるまい。
それにしてもすごい風景ね。
見下ろすと、怖いですよ。
身震いします。
一人だし。
雪渓を降り始めてすぐに振り返る。
見納め。
そして長い急斜はずっとバックステップで。
一歩一歩確実に。
つまりは写真など撮ってられません。
『しろぷー、五竜は意外に怖かったよ!』と
モモちゃんが言っていたけど、うんうんわかるわー。
そして、ようやくカメラが出せる傾斜まで下りてくると、冬毛の雷鳥先生が。
この子、べっぴんさんね。
辺りを探したら、やっぱり居ましたダンナ様が。
そうね、ポーズも決まってるわ。
ザ・雷鳥、ってアングル。
この日は沢山の雷鳥に遭遇しながら、無事山荘まで下山。
夕食は、さんぱっちんのテッパンメニュー・カレーライスとろけるチーズハンバーグのせ。
千切りキャベツもプラスして。
風が吹く中、温かい小屋で一人のんびり。
山雑誌を読んだり、写真を撮ったり。
小屋時間を満喫して、懐かしい柄の赤い布団にくるまって眠りに就いたのでした。
—–
2014 4 29 曇り 雷 雨
起きて朝食を摂り、手早く身支度。
スタッフさんには、また来ればいいんだから止めといたら?と言われたが。
昨日の山頂からの様子なら、手早く歩けそうな気もするので、天候が悪化する前に駆け抜けよう。
お礼を言って、出発。
空はご覧の通り、暗澹(あんたん)としていますが。
途中、アイゼンの付けはずしもあり、ザックが滑り落ちないように注意しながら作業する。
ここのトラバースはやっぱり長い。
そしてステップも細い。
風が弱くて助かった。
駄菓子菓子。
だがしかし。
向かいの剣岳の方で、雷がゴロゴロ鳴り出した。
既に空はこんな色。
しまった、思ったよりも早い。
あちら側の天気は、あっという間にこちら側にやってくる。
その速さたるや、山の上で毎日見てても感心するほど。
急がねば。
足元に気をつけて、ペースを上げる。
—–
当たり前かもしれないが、すれ違う登山客など居なかった。
稜線上に、私一人だけ。
さぶちゃんがよく言う『独り占めだね。』だけど、ちっとも嬉しくないぞ、この状況では。
稜線を通って雪道の際を歩いたら、二歩目で腰まで落ちた。
右に1mほどの雪庇。
しまった、間違えた!
瞬間的に思った。
恐ろしかった。
漫画・岳の、雪庇を踏み抜いて雪庇ごと切れ落ちそうになるシーンが頭をよぎった。
そおっと抜け出し、ハイマツの際を通りなおす。
次の試練は。
おやびんが言っていた、『この時期のトラバースは、下手なヴァリエーションより危ないぞ。』と言う
一箇所回り込んで乗っ越す所が、最高に怖かったけれど(本当に泣きが入った)
それでも通過しなければならない。
一回 固まりかけるほど怖かったけれど、なんとかクリア。
そして最後はハイマツの見えるトレースを辿っていったら、今度はハイマツ帯で薮こぎ状態。
迷いトレースだ。
(正解は稜線上の夏道だった。)
時間のロスだ、と思いながらも、ここは体力を使って夏道まで戻ればいい。
バテない体力。
冷静な判断以上に、時として必要な気もする。
大丈夫、このペースでも歩ききれる、と自分に確認しながら鼓舞しながら。
暗鈍の空の下、一人歩く。
この景色が見えた時は、心からホッとしました。
ここでようやくペースを落とし、山荘前のベンチにザックを降ろす。
2時間弱で通過。
雨、雷にもなんとか当たらず、ホッと一息。
でも、この後に確実に雨は来るので、休憩もそこそこにして出発。
年始に来た八方尾根を下り始める。
—–
そう言えば、ここも夏道を通った事がない。
お正月の時に比べて、明らかに雪が少ないこの稜線も、標高を下げていくと夏道が見えてくる。
八方池。
見てみたいな。
こんなに何度も通っているのに、いつも雪の下だ。
そんな事を思いながら、降りていく。
丸山ケルンの近くで、カップルさんにすれ違って挨拶をする。
あれ?と思ってよく見たら、なんと私が大好きなお客様夫婦だった。
『私は気がつかなかったんですけど、主人が先に気が付いて。』
と言う、このご夫婦。
いつも互いに思いやって愛情が溢れているのがこちらまで伝わってくる程で、大大大好き。
見ている私までシアワセな気持ちにさせてくれます。
実は私が初めて大キレットをソロで通過した時にも、涸沢で偶然お会いしたのだ。
も:『本当に、また山でお会いしましたねー。』
何故かハードなソロ山行の最後に、このご夫婦に会える偶然に感謝したい。
お店に来てくださった日も、私にとっては『ラッキーな日』になる位、素敵なご夫婦。
私にとっては、最高のご褒美だ。
これから登られるお二人の時間も押していたので、無事を祈って別れを告げる。
足早に降り始めて、あ、と気付き、呼び返す。
記念に一枚。
この後も快調に飛ばし、40分で八方池山荘に到着。
ゴンドラに乗って、リフトを乗り継いで、電車に乗って、車に乗って。
天候に恵まれなかった分だけ、精神修行ができた今回の山行でした。
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