くりのすけが問う。
く:『どうして現行山行の報告しないんですか?』
も:『過去の分の報告が終わってないからよ。』
く:『もう飛ばしちゃったらいいじゃないですか。』
も:『それはできない性格なのよ。几帳面だから。』
季節感思いっ切り無視して、散々遅れて更新しておきながら几帳面とかいうオンナ・もおすけでございます。
皆様こんにちにゃ。
なのでもう次号からは書式スタイルを変えるわよ。
書くわよ。
書いて書いて現行まで追いつくのよーーー!
ゼイゼイゼイ。
今年はやります。
毎年言ってる。
けどやります。
ので、御託はいいから更新です。剣岳・完結編です!
【おさるのもおすけ日記】2014初・剱岳その10
2014年 9月13日
一ノ越山荘について休憩を。ココにも人が沢山。
トイレ行っておやつ食べて・・・
って、あれ?
見覚えのある顔じゃない?
も:『・・・・・えーまんさん?』
え:『うわっ!おーーー!!』
も:『おーーーーッ!!』
と喜びの再会にハイタッチ。
そして『ほら。』と指差す方を見れば。そこにはゆきちゃんが。
うわーーーなんでここに?と当たり前の質問をしながらもハイタッチ。
えーまんさん&ゆきちゃんと言えば、5月のツバクロ以来だ。
お友達と三人で来ていたので、記念に一枚。絵になるなぁ。オーラがあるもんね。

これから三人で剣岳に行くと言う。
でも。
ライト&ファーストのゆきちゃん。
このザックでソロテン泊装備なのだが、ヘルメットが無い。あれ?持ってなかったっけ?ヘルメット。
ゆ:『いや、今回は要らないかな、と思って。』
も:『今回使わなくていつ使うのよ。今日からの三連休なら、剱は激混みだよ!』
自分が落ちなくても、落石&落人の可能性もある。有無を言わさず私のヘルメットを勝手にザックに付ける。
後で聞いた話ですが、三連休の剣は渋滞する程だったようです。激混みの岩稜帯には、ヘルメットは必須です。無事で何よりでした。
で、ここから99%の人は室堂に降りますが。
夏の大縦走で交通費貧○な私は、東一ノ越を通って黒部湖まで歩きます。まあずっと下りだし、荷物も大縦走に比べれば軽いしねってことで。
ただ、人がいない。
その上、登山道には熊のフンが。
・・・・・。
歩き始めてすぐ鈴を鳴らし始める。
東一ノ越でおじさんを追い抜かしたら、見渡す限りの登山道には私だけ。

一人黙々と下り始める。両脇の草も登山道を覆い、視界は悪い。こんなとこでクマに鉢合わせたくはないよなぁ、と思っていたら
ドタドタドタッ。
前方左10m位。もの凄い足音と共に木々と草が揺れた。
熊だっ!!
瞬間でわかった。
登山道で凍りつく。
とっさに、いつもぶら下げている胸元のホイッスルを思いっ切り鳴らした。
ピーーーーーーーーーーッ!
熊は登山道とは反対方向の谷筋に慌てて下りていくのがわかったけれど、この先の蛇行する登山道で、狼狽してまた鉢合わせしたらどうしよう。向こうだって動揺しているのだ。
どうしてよりによって、ソロの時に熊と初対面なのよー!
うえーーーん怖いよーーーー!!
さぶちゃんさんぱっちん、こわいよーーー!!
その後は、立ち止まったまま怖くて笛吹きまくり。足音の方向に耳を研ぎ澄ませる。静かに立ち、逃げ去るのを待つ。
そしてしばらくしてから。
ダッシュ!
もう小走りです。
トレランです。
走る体力あって良かったー。心から思いました。
皆さん体力は大事ですよ。登山の三大要素『知識・技術・体力』の中で、やっぱり一番体力が基本だと、もおすけは思っています。
体力あってこそ、山の中で知識と技術も活かされる。
知識や技術を持っていても、バテバテの状態では何もできませんからね。
で、走る走る。
すると下から上がってきた4人組のパーティさん。ほんのすぐ前まで、足音さえ聞こえませんでした。熊も同じで何かに夢中になっていたら、周囲の音とか聞こえないようです(よく言われる話です)。
熊が出た地点ですぐに標高を見ていた私は、○○mの地点で熊が出た旨を伝える。
おじさんの一人は、ザックに付けていた小さな笛を持って吹いていこう、と言っていたけど、その笛だと小さいから音が届きにくいんだよなぁ、と心の中で思った。
でも何もないよりは ずっといいでしょう。
それからも熊が登山道に再び出てこないように、笛吹きまくりでガンガン歩く。
タンボ平を過ぎ、沢筋に出ると若い男女のパーティがラーメンを作って食べていた。熊の事だけ伝えて足早に立ち去る。
ココから先も鬱蒼としていて視界が悪い。
笛吹きながらガンガン歩く。
足の裏、疲れた。
そしてようやく。

よーーーやくゆっくりと歩き出す。
もう大丈夫だ。
怖かった。
怖かった。
それにしても怖かった。
本当はロッジくろよんのテント場とかも見たかったのだが、この先も彼(熊)が出そうな気配満々な風景なのでやめにした。
公共機関使います使います。
楽しそうな沢山の観光客がいる中、一人疲れた顔してザックを下ろす。
お水飲んで
ご褒美の塩豚まん食べて

無事に帰宅できたのでした。
<完>
登山の必須アイテム2選・ペツルのヘルメットとハイマウント・イーコール
今回の重要アイテム。

岩稜帯には必携のヘルメット。私は前モデルの色ですが、軽くて使いやすいです。
危険箇所まではザックに付けておくだけのモノなので、できるだけ軽い方がいい。だってこれを使うってことは、それなりの危険な所を通過するわけですから、荷物もそれなりに軽量化した方がいいと思います。
ハイマウント・イーコールで熊との遭遇を未然に防ぐ
そしてホイッスル。
大きく聞こえる色々種類はありますが、3200ヘルツの音が最大700mの範囲まで届きます。そして小さく薄く、軽いので邪魔になりにくい。このサイズでこの音量は、とても性能がいいと思います。

緊急連絡用ネームカードがセット可能で以前、冬の富士山でネームカードがきちんと書かれたこの笛を拾って、送ってあげたことがありました。
名前を書くのは大事ね。
ちなみにこのホイッスル。
結構な音量なので、もおすけは吹く時は周囲の登山者がびっくりしないように、短めに『ピ!』と吹いてから大きく長くピーーーーーッ!と吹くようにしています。
最近ではメーカーのザックのチェストストラップにもホイッスルが付いているのですが、知らない人が多いです。オスプレイやグレゴリー、ノースのザックなどには標準でついているものが多いのでご確認を。こちらも以前に比べて音量が少し増している?と思いましたが、イーコールは緊張感のある高音なのと、遠くまで響いてるのを実感できるので、必ずたすき掛けして身につけています。
笛や財布などを首から下げる時の注意点
ホイッスルや財布など、登山中に首から下げる時、大事なことが一つだけあります。それは、
首にかけずに、必ずたすき掛けすること
です。
駅伝ランナーのように、腕を通してから頭を通し、斜めがけにする。
理由は、
・滑落した時、紐が岩や木に引っかかると首吊状態になってしまう
・細い2mmの細引きでも50~90kgの耐荷重があるので、首を引きちぎってしまう可能性がある
からです。これは、クライミング、アルパインの基礎と同じでロープやスリングを掛ける時は、必ず腕から通してたすき掛けにするのと同じこと。ピッケルコードを身につける時も同じ。
腕から先に通す理由は?
紐状のもの(ホイッスルの紐、スリング、ロープ、ピッケルコードなど)を身につける時は、
1・まず腕から輪っかに通す
2・その次に頭を通して斜めがけ(たすき掛け)にする
の順番です。理由は、足場の悪い危険な箇所でその動作をしている時に、突風や足元の雪などでバランスを崩し滑落した時に、腕を通していないと首を吊ってしまうから。だから安全な場所であっても、常に腕から通す習慣をクセつけておく必要がある、と教わりました。なるほどー。
体に習慣化させて身につけると、劣悪な状況の時でも無意識で安全な行動が取れます。
熊の多い昨今ですので、ホイッスルの常用は大事だと思っています。

剱と熊と。
忘れられない登山となりました。
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