2014. 2. 4. 曇り
西天狗山頂から西尾根を覗く。
予想通り、そこには何のトレースも無かった。
2月初旬とは言え、日中の日差しと風とで稜線上のトレースは消えてしまうのが常識。
自分ならどこを行くか。
考えながら樹林帯まで降りる。
—–
樹林帯に入れば、辛うじてトレースが残っていた。
それも最近のものではなく、一週間位前のものであろうか。
所々ではあるが、ピンクリボンも見える(ただこれはあまり期待できない)。
とにかく尾根沿いしか歩くところは無いルートなので、迷うことは無いだろうと言う判断で
下山を決めたが、厄介なのはトレース跡を外した時の踏み抜き。
ほんとこれってしんどい。
時折もぐりながら、トレース皆無の場所にヒヤリとさせられながら、そしてコンパスを当てて
確認しながら降りていく。
—–
今回に限らず。
私自身、基本的に相手を当てにしたりどうにかしてもらう つもりもないのですが、
経験の浅い人と登るのは、常に自分に緊張とプレッシャーがあると実感しました。
それが冬山なら特に。
体力が無い人となら尚のこと。
それは私が筋力の少ないオンナだからかも知れません。
自分のことは自分で何とかしようと思っていますが、他人様を背負うことはきっと無理でしょう。
これがさぶちゃんとかだったら可能だから、緊張とかも少ないのかな、等と思ったりしながら歩く。
そして、ありがたく嬉しい分岐の道標までたどり着くことが出来ました。
ここまで来ればもう安心。
写真を撮る余裕も出てくるというものです。
道標なんか今更撮って楽しいの?こうちゃん。
こ:『資料として撮っとくの。』
・・・ほんとにその資料、活躍する時あるの?
『いいの、大事。』と、もぐお。
このヒトの写真待ちは長いので。
暇だからこの人を撮る(さんぱっちんはいつも楽しそうに撮ってるから、違う理由だと思うけど)。
ここからまだ、だらだらと歩かされます。
天気は変わらずどんより曇り空。
まあ不安が無い分だけ、楽だけど。
そして唐沢鉱泉前まで降りてきました。
ところがどっこい。
ワタクシ、よくやってしまう勘違いをしておりまして。
ここで渋の湯駐車場に周回出来ると思ってたんですよね。
あれ?
会社の研修では、ここから登り返した記憶は無いんだけど・・・・・
と、もおすけの自分勝手な記憶を辿ると・・・・
そうか、研修ではお風呂入ってここまでマイクロバスをチャーターして下山したんだった!
お風呂入りながら、今からここを登り返すのはイヤだよねー、などと渋の湯方面に向かう急登の
登山者の足元を湯船から見てたんだ!
おおぅ。
今から私がそれをやるのか?
うんざりしてる私にこうちゃん、
こ:『でもここ15分くらい登ったら、尾根筋に出るからすぐだよ。』
と、地図のコースタイムが既に頭に入っている彼は言う。
もうその15分がイヤだ。
と、駄々をこねる。
だって、昨日も朝早く夜遅く、そして今日も朝5時起きで登って降りて。
これ以上また登るのはもうイヤだーーーー。
と、駄々をこねた所で、ここに車が来るわけでもなく。
仕方ないので登り返す。
ああしんどい。
行くならさっさと済ませたい(早く帰りたい)。
あれ。
・・・・もぐたん?
来ないの?
早く来ないと、置いてくよ?もぐたん。
以前、極楽湯船に浸かっていた小屋のお風呂場を見下ろしながら、うんざり急登を登り始めます。
—–
も:『ちょっと、こうちゃん。何これ、立派な九十九折じゃない。しかももう15分経ってるよ。』
全然楽じゃない。
全然15分なんかじゃ着かない。
めっちゃしんどい急登じゃないか。
も:『もーやだよーー、歩きたくないよーーしかも雪が凄いじゃないかーーーも ぐおのばかーーー。』
後ろから散々罵倒を浴びせる私。
止みかけていた雪も、しっかり降ってきた。
こ:『そんな事言ったって、仕方ないでしょー。頑張らなきゃ着かないんだから。』
などと一見 尤もらしい事を言う。
何言ってんのよ、誰のせいでこんなしんどい道を歩く羽目になってるのよ。
も:『もーやだー、これ以上あーるーきーたーくーなーいーー。』
こ:『何言ってんのー。ほら、頑張ってしろぷー。』
頑張って、じゃないよ。
アタシはいつも君達が来る準備やら買いだしやら何やらで、前々日から睡眠不足なのよ。
寝ないと動けない体質だから、移住したって言うのに。
嗚呼もうどーでもいー、とにかく歩きたくないーー。
と、あんまりしんどいので、途中で小休止。
だって、すぐ稜線に着くと思ってたのに、全然着かないんだもん。
こうちゃんだって、そう思ってたでしょ?
とにかく疲れて小休止。
おやつと水を取る。
うんざりする雪景色を撮ろうと思ったら、もぐたん、無言でこんなポーズを。
すっかりカメラに慣れたのね。
でも。
うーーん、思ってたより長くてしんどいなぁ。
心の中で後悔しながら(?)、再び歩き始めるこうちゃんと私。
だってほら、しんどい上に、こんなに降ってきてるんですよ?
もういいです、素直に帰りたいです。
さんぱっちんは、ボードで正解だなー。
絶対あの人は8時過ぎま家で寝てて、お昼頃ゲレンデ着いてちょっと滑って温泉入って
ビールとか飲んじゃってるよー。
私達と大違いだなー、と色々悪態つきながら歩き、ようやく渋の湯登山口に辿り着きました。
長かった。
—–
も:『こんなに頑張ったんだから、記念に撮っときたい。』
と、到着口で写真を撮る。
確かに厳冬期の天狗岳西尾根を周回してる人はかなり少ない。
殆どが黒百合経由のピストンだ。
私ももう二度としたくない。
ので、一枚。
でも、もう二度としたくないでしょ?
そうよ、お姉さんの言うコトに間違いはないんだから。
とか言っていたら、ヤツは凄いこと言ってきた。
こ:『・・・しろぷー、ここまで車回してきてよ。』
も:『はあーーー?男のアンタがよくそんな事言えるね、信じられない。
さぶちゃんなら、車回してくるわ、ぐらい言ってくれるのにアタシに取りに行って来い、と?』
こ:『さぶさんなら、車回してくれるの?』
も:『これだけ歩いて疲れてたら、さぶちゃんならやってくれるね。
しかもアンタが一番若くて体力あるはずなのに。女子のアタシに取りにいけ、って。サイテーだ。』
呆れてものが言えないアタシは、さっさと一人歩いていく。
ろくでなしオトコは、こんなものまで撮っていた。
結局、こうちゃんも駐車場まで歩いてきましたが(当たり前だ、て言うかキミが取りに行け)、
車中ではぐっすりお休みになり。
途中疲れて猛烈な睡魔に襲われた私は、コンビニでコーヒーを買い、なんとか頑張って運転し帰宅。
さすがに疲れて夕食を作る気にはなれなかったので、近所のおいしい御鮨屋さんに。
大好きな白子とか~
これまた大好きなカニ味噌~
たらふく食べて(こうちゃんはお寿司も全て撮っていた)、食いしん坊二人の胃袋もご満悦。
しかも今日のお礼に、と言うコトでお支払いはもぐお様の奢りでした。
最後の一言が無かったら、心から感謝しましたが(あれは本当にひどかった)
お礼を言ってお店を後にしました。
—–
翌日。
帰り支度の、もぐ荷物(もちろん自分で撮ってる)
ここが定位置だもん。
厳冬期・東天狗&西天狗。
個人的にはピストンがお薦めです。
<完>
コメント