先日のこと。
ワニさん宛の電話を取るが、てんちょは外出中。
先方さんは、どうやら急ぎの内容らしい。
そこで一旦切って、ワニおさんの携帯を鳴らす私。
プルルルルル・・・
も:「あ、てんちょーですか?もおすけですけど。」
ワ:「・・・随分 声が近いようだが何か。」
も:「あら、そうですか?それは心の距離のせいかと♪」
ワ:「いや単なる物理的なせいだと思うが。今、作業場にいるけど何か。」
いやーん、もおすけの電話をそんなに近くで取りたいなんて。
ワニさんてばおちゃめさん。
違うそうじゃない。
帰ってきたんなら、携帯取るより着信出てんだから
レジんとこ来てよ、のもおすけです。
皆様こんばんにゃ。
しかもね皆さん、電話の声ったらすんごい不愉快そうな声で出るんですよ?
受話器越しにもおすけの美声を聞けたんだから、もっと喜んで頂きたいわ。
嗚呼、そんな話はどうでもいいのよ。
相変わらず巻き返しが出来ないどころか、夕立&雷にやられちゃって
野口五郎にさえも行けなかった、もおすけの大縦走三日目。
目標は、上高地から日本海・親不知まで登り切るぞの12日間大縦走。
本日は四日目の報告でございます。
【もおすけ日記・女ソロでテン泊大縦走2015年8月5日】上高地~日本海・親不知まで6・人生初のビバーク~烏帽子小屋&お薦め読本
2015年 8月5日 4日目 晴のち曇のちにわか雨
予定では、
03日目 双六~三俣~野口五郎岳~烏帽子小屋 10:10
実際は、
03日目 槍ヶ岳山荘~双六経由~水晶手前で緊急幕営(ビバーク)
本来なら、今日の4日目は、
04日目 烏帽子小屋~船窪小屋 7:10
水晶からだと船窪小屋までは12:20となるが、このコースはエグい。
そして今日も午後は天気が崩れ、夕立の可能性が大。
烏帽子~船窪感は稜線歩き。
途中に小屋などないから、選択肢は2つしかない。
烏帽子止まりか船窪まで行くか。
初日から、「明日はどこまで巻き返せるか。」
そればかり考えていた。
でも、天気には逆らえない。
単なる雨なら歩けるが、雷の中歩くのは無謀以外の何ものでもない。
まずは、野口五郎小屋に着いた時間と天気で決めよう。
4時に起きて、5時に出発。
ご来光です。
左が野口五郎岳。
ここに来て、足の痛みが出だし&その影響で肩が痛い。
でもそれ以上に、足の裏が痛い。
去年、南アルプスの大縦走が出来たから 今年も普通に行ける、と
思っていたが、北アルプスの方が岩が多く土道が少ないお蔭で、
足の裏に振動がダイレクトに来る。
そして足場が届かないと、どうしても着地時に衝撃が大きくなるので
足の裏&縁が痛くなってきた。
靴下はへしゃげて薄くなり、クッション性もなく硬い。
こんなにヘタるのなら、二枚重ねた方がいいんじゃない?と重ね履き。
分厚くなった分、靴紐を少し緩めてアッパーを広げる。
お、よいではないか!
クッション性が上がって痛くなさそう。
小さな痛みや不具合にも、自分で考え対処していく。
ソロ山行は、あるもので最善を尽くす法を考えなければいけません。
例えば、汗とムレで痒くなる前足首のタンの部分。
ここには馬油を塗ってみた(出ました!馬油)。
掻きむしって皮が剥けた部分の炎症にも、効果てきめん。
馬油は薬代わりにもなります。
長い山行ともなれば、いろんな出来事が起きてきます。
事実は一つ、受け止め方は2つ。
それを嗚呼もういやだー、とうんざりするか
さてどうしよう、と最善策を練って対処していくか。
誰かがいるだけで、話しかけるだけで解決策が生まれたり
救済物がもらえたりしますが、ソロは全て自分だけ。
このシンプルな環境が、登山に最も必要な”自立”に
必要なのだと思っています。
自分を信じ、尚且つ自分を客観的に見る力。
神様に試されてるなぁと思いながら、まるでロールプレイングゲームのように
小さな事件が起きては、自分なりに考えクリアしていく。
誰かと一緒の登山でも、相手に頼るのではなく
備も歩荷力(体力)が自立した者同志が、パーティを組んで登る。
これが登山のあるべき姿ではないかと思っています。
私にとってソロ縦走は、そのための自己鍛錬山行でもあるのです。
閑話休題。
話を元に戻しましょう。
この日は「ここってこんなんだったんですか?」とずっと驚嘆しながら
水晶小屋分岐から野口五郎小屋までの岩場を歩く。
4年前は、ガスガス&雨で道が全く見えませんでしたから。
先の道標も見えない中の、コンパスの針だけを頼りに歩いた山行。
晴れた朝、再び通ればそこは全くの未知の世界。
初めて通る感覚で歩きました。
東沢乗越を過ぎて急登を上がり、トラバースを通って野口五郎小屋に着く。
AM7:30。
実はずっとここに来たかった。
4年前、ブナ立て尾根から人の少ない時期に登った裏銀座縦走。
会話の流れで三俣山荘で働く事を話したら、「お互い世話になったりするから。」と
烏帽子小屋さんと同系列のこの野口五郎小屋さん、両方で
コーヒーを頂くもてなしを受けたのだった。
その時の優しさが本当にうれしくって、
ずっとお礼を言いに来たかったのです。
話しかけたお兄さんは、アルバイトさんではなく
丁度小屋の息子さんらしく、4年前の話をしてお礼を述べる。
あの時は本当にありがとうございました。
時間はたっぷりあるのだけれど、烏帽子から先の様子を伺う。
やっぱり午後はここ数日の天気と同じく崩れるし、
船窪までは辿り着けないと、ビバークする場所もなくクマも出る!と。
・・・・・。
やっぱり今日は烏帽子止まりでしょう。
時間たっぷりあるのに残念。
でも、小屋の人のアドバイスは絶対だと思います。
なので、AM7:30で烏帽子止まり決定!
そうともなれば、ゆっくり休憩。
おやつ食べてお水飲んで。
そしたら小屋のお兄さん、
お:「これ、賞味期限切れてるけど。」
って、ポンジュース缶を下さいました。
また頂いちゃって。
せっかくお礼を言いに来たのに意味ないなぁ、とか思いながら
ありがたく受け取りました。
このポンジュースの美味しかったこと。
アタシのコーラを飲むどっかの小屋の誰かさんとは
大違いね(根に持ってる風)。
野口五郎小屋さんは、一見地味な小屋に見えますが
とても清潔です。
トイレも無臭だし、何より驚いたのが小屋の外周りを
綺麗にレーキ(金属の熊手)で掃いていること。
お寺の枯山水みたいに綺麗で、ここまでしている小屋って見たことなくて
すごい綺麗好きなご家族なんだなあって感動しました。
今年のポンジュースのお礼も言って、さあ出発。
もう急がないとなると、心は一気に軽くなります。
急がないならいーやー。
初めて稜線歩きを楽しめる気分です。
裏銀座コースをのんびり歩く。
稜線の展望コースとお花畑コースの分岐でお花畑コースを選択。
これが大正解!
誰もいない雪渓の所で、雪解け水が流れている。
ここでザックを下ろし、洗髪。
靴下も脱いで、ナノタオルで手足・首・背中と体を拭く。
岩に座って足先を乾かしながら、向かいの餓鬼岳を眺める。
ああ、気持ちいいなぁ。
烏帽子は水場がないから、ここで目一杯給水をする。
目の前の雪渓から流れだす水の冷たくて美味しいこと。
景色も水も独り占めです。
たっぷり心の補給もして、出発。
今日のゴールはすぐそこだもんね。
烏帽子側から数組の登山者とすれ違う。
野口五郎小屋さんも水は有料だから、お花畑コースを薦めて。
そしてその先には、コマクサの群生が。
可憐です。
砂礫とコマクサ。
山の夏らしい風景ね。
高瀬ダムも見えて。
ここらでもおすけハイテンション。
楽しい。
4年前と大違いの景色。
この稜線歩きを満喫したかったのだ。
大満足。
もうこっから先の天気での停滞とかは、そん時考えればいーやー!と
開き直る。
人生それも必要。
稜線から小屋やテン場が見え、ウキウキで歩いて行くと。
着きました。
烏帽子のテン場。
ザックを置いて、受付へ。
そしたらなんと、受付のお兄さん。
見覚えのあるお顔だったので声を掛けたら
やっぱりうちのお客様でした。
ここでも4年前のお礼を伝え、テン場に戻り、
到着の習慣となりつつある珈琲タイム。
幸福な光景。
Coffeeとカステラと先生と。
隣の二人用テントのお姉さんたちは、読売新道から上がって
(!ハードなコース!!)ブナ立てに下るという。
女子二人組で楽しそうでした。
烏帽子小屋さんの前は、イワギキョウで一面ブルー。
ここでも手入れの良さを実感。
とっても綺麗でした。
ガスってきたのでテントの中で読書タイム。
その後夕食。
4日目の夕食はこちらです。
マルタイ棒ラーメン。
人参・Pマン・なめこ&ひらたけ・あおさのり入り。
もちろんウマウマ。
皆さん、人生干せばなんでも持って行けますよ!(おかしくても断言)
天気が良い日が続かないとカビるし、硬い野菜ならこれがいいかも。
楽天最安値で探してね→ からりんこ
縦走始まって以来の最短時間。
5:10でテント場に着くという楽ちん山行。
テントの中でたっぷり休息&読書タイム。
幸せな一日でした。
<続く>
山の上でのお薦め読本
今回の大縦走で持って行った本は、前回のこれに大満足しての
神去なあなあ日常-【電子書籍】 |
文庫本はこちら→ 【楽天ブックスならいつでも送料無料】神去なあなあ日常・ 三浦しをん
続編のこちらにしました。
もんきち先生の栞は手作りよ。
お買い物マラソンは26日13:59までだよ → 神去なあなあ夜話
もう、毎日テントの中でやることをさっさと終えてから
これを読むのが楽しみで楽しみで。
続編も大満足の作品でした。
登山の話ではないけれど、山(林業)をテーマにした物語。
山の中の流れる空気や時間が、とても上手に表現されていて
山の中で読むにはピッタリです。
文章もサラサラと読みやすく、それでいて面白い。
毎日就寝時間と悩みながらも読みふけっていました。
皆さんにもぜひ読んで頂きたいなー。
あの、山の中に流れる風の透明感が感じられる一冊です。
縦走四日目。でも折り返し地点すらもまだ遠いもおすけに
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