さぼっていました。
またまたさぼっていたら、各方面から『大丈夫?』って連絡が。
この場合、風邪とか体調崩した?とかより“無事に下山してる?”の意味合いが多い気がする。
山屋だから当然ですが、心配掛けてごめんなさい。
もおすけは元気ですが、セールとこの天気のせいでお店は連日大忙し。
んで、6月ラストの山行報告はこれです。
同窓会山行。
高校が一緒だった、おぎちゃん&せーごくんと行く爺ヶ岳です。
【おさるのもおすけ日記】2014年6月・同窓会は爺ヶ岳で
2014 6 27
夜、おぎちゃんを迎えに松本駅まで行く。
迎えに行こうとエスカレーターを走って上がると、下りのエスカレーターから呼び声が。
お:『〇〇〇!(もおすけの名字)』
も:『?』
誰だかわからなくて、あれ?お店のお客様?でも名字で呼び捨てなんて??って思っていたら、
お:『オレだよ、オレ!わかんないの?』
も:『え?おぎちゃん??あのおぎちゃん??』
そう、あのおぎちゃんだった。
名は体を表す、とはよく言ったもので彼の名前そのものの
シャープな視線と歯に衣着せぬ物言いが、印象深かったおぎちゃん。
それがどうだ。
目元も、そして何よりもオーラが断然優しくなっているではないか。
も:『うそ?ほんとにあのおぎちゃん?全っ然わからなかったよ!すっごい変わったねー!』
お:『もおすけは全然変わってないな。』
・・・・・ ええ、よく言われますよ。
それって大人びて落ち着いた雰囲気とか、色気とかフェロモンとか(どっちも一緒)
まったく備えることなく20余年を過ごしてきた、と言いたいんでしょ。
ぐうの音も出ないまま、見違えるほど柔和になったおぎちゃんを乗せ、家に向かう。
懐かしい話や近況報告など、話したいことは互いに盛りだくさん。
だって23年ぶりだもの。
当時、互いに神戸に住んでいたので阪神大震災時に無事を確認して以来。
そんなに長い事会っていなかった友達と、こうして再会できるなんて。
しかも一緒に山に登れるなんて。
嬉しくって、また眠れないじゃない。
お:『そう言えばさ、明日の山って雪渓とかどうなの?』
も:『知らない。でも大丈夫じゃない?念のためアイゼン持って行くんだし。』
念のためPCで調べたが、雪渓は大して大きくないし、風の影響も少ない高度。
うちのスタッフに相談しても、天気が安定してれば
『アイゼン着けて慎重に通過すれば大丈夫。』と教えてもらっていたし。
そんな適当っぽい答え方をした私に おぎちゃんは、
お:『・・・・・もおすけ、変わったなぁ。』
も:『あらそう?』
お:『そうだよ、昔だったらどっか行くって言ったら、栞とか作って事前調査もバッチリしてたのに。』
そうだった。
PCのない当時なのに、色々ガイドブックとか時刻表とか調べて、
持ち物リストやタイムスケジュールまで立てて、それを栞にして更に色鉛筆で色まで塗っていたのだ。
嗚呼アタシじゃないみたい。
も:『そうだね、あの頃の私とは随分性格変わってると思うわー。』
あの頃のアタシと思って頂いては困ります。
そんな話をして笑いながら、次に到着するせーご君を迎えに再び二人で車に乗り込み、駅へ向かう。
—–
おぎちゃんと同じく20年ぶりに会うせーご君。
大きなザックを背負って手を振ってくれなかったら、これまた全くわからなかった。
20年の歳月は、こうも人を変えるのね。
二人共、いいオトコになってましたわー。
それに引き換え私って・・・・。
で、家に着いて恒例の『寝なきゃいけないのに寝ないで宴会』が始まります。
せ:『これ、お土産。飲むでしょ。』
と彼が袋から出して手渡してくれたのは、なんと焼酎の瓶だった。
も:『ありがとうせーごくん。でも私、飲めないのよ。お酒強いと思ったでしょ?』
せ:『え?そうなの?うん、てっきり強いと思ってた。』
皆さんの、この大きな誤解は一体何処から来るのでしょう。
まったくもって不思議でならない。
美味しそうなお酒は、明日のテントの中でお二人に飲んで頂くとして
私はおぎちゃんのくれた美味しそうな和菓子と、これまたせーごくんのくれた
大好きな崎陽軒のシュウマイに喜びつつ、お酒&ご飯も終えて、
いい加減明日の為に宴会を切り上げる。
私だけがまだお風呂に入っていなかったので、最後に入って出てきたら。
そこにはビックリする光景が。
洗いモノをしてくれる40代男子。
『イヤ、ご飯作ってもらったし、このくらいしないと。』
って。
うちのローチェストに座って(そこは座るトコじゃありません)、
お:『ん、何だこの家は。客人に茶も出さないのか。』
なぁんて言っていた人(←これはおぎちゃん)とは思えませんよ。
私は言いたい。
も:『みっこー(←妹)、おぎちゃんは変わったよー(見た目も中身も)。』
いいよいいよー、置いといてーと言っても、最後まで綺麗に片付けてくれたお二人。
ありがとうございました。
互いにいろんな所で時の流れを感じつつ、今夜はひとまずもう寝ましょう。
—–
2014 6 28 曇り
起きて朝ご飯のサンドイッチを詰め込んで、家を出る。
最後に家の鍵をかけて車に向かうと、しっかり者のせーご君は既に助手席で地図を見ていた。
忘れ物はないか、戸締りは・・・と何かと心配されてる私は、
一晩ですっかり心配さんキャラである事を読まれていた。
嘘みたいな話ですが、昔は行き順をきちんと頭に入れて乗り換え場所とか時刻とか、
すべて暗記してる程だったんですよ。
今じゃ、登山道でなく国道で道迷いになるほどのダメッぷりですが。
それにしても、同級生。
同じ年齢と同じ時を過ごしてきたと言う安心感は、不思議な程居心地がいい。
“姉さん”でない居心地の良さは、何年ぶりだろうか。
って、さぶちゃん達にもいつも心配されてますけどね。
せーごくんナビで、迷うことなく登山口に到着。
残念ながら今回も晴天は望めず。
曇り空の中、いざ出発。
それでもやっぱり初めての山というのは心躍るもの。
初めて登る山は、一人より誰かと一緒の方がいい。
『初めて、は 一回だけだから。』
お店で言われたその言葉に、大きく頷いたのを覚えている。
初めての感動は、誰かと一緒に味わいたいのだ。
だからこんな天気でも、私はすっごく楽しい。
だって、せえしゅん時代の同級生とだし。
驚く事に、おぎちゃんはもの凄く昔の事を覚えている。
修学旅行の時、〇〇が田んぼに落ちたとか、夜のボーリングの話とか。
対照的に、せーごくんはほとんどと言ってもいい程、いろんな事を覚えていない。
私はと言うと、誰と何を話したかは覚えていなくて、視覚的に印象深かったものは細部まで
絵的に記憶している。
修学旅行の自由時間、田んぼに夕日が当たって凄く綺麗だった事。
ヒグラシが鳴いていて、その中をお土産に買ったびいどろをポッペンポッペン鳴らしながら
皆で歩きながら宿に戻った光景。
町の名前は忘れていても、今、紙を渡されてもその風景が描ける。
互いにそんな話をしながら、霧雨の中、小屋へ向かう。
で、話していて、途中で気付く。
人間は、自分の関心の強いものだけ記憶している、と言う事実。
それ以外は、短期間覚えていたとしても、時が過ぎれば忘れてしまう。
例えば好きな人の誕生日。
大好きな時は覚えていても、そうでなくなって時が経つといつだったか忘れていたり。
そんな事ってないですか?
それを証拠に、せーごくん。
大勢で旅行した時に、誰がいたかは覚えていなくとも、花の名前は凄く沢山覚えている。
も:『じゃあ、この花の名前わかる?』
と聞けば、これはショウジョウバカマ、キヌガサソウ、ギンリョウソウと次々に答えていく。
お:『そうか、せーごはオレ達より花の方が興味あるんだな。』
も:『そうだね、私もおぎちゃんの台詞とかまでは来年覚えていないかも。』
せ:『いや、来年なら おぎちゃんともおすけと行った事位は覚えていると思うよ。』
ありがとうせーごくん。
それで充分ですわー。
等と、笑いながら登っていく。
雪渓を横切るおぎちゃんに、
ステップを切る私。
うん、みっこも元気よ。
と、そんな私を撮ってくれたせーごくん。
くっちゃべっていたら(ほとんど私が)、あっという間に種池山荘に着きました。
相変わらずですが、こんなアップの写真なのに撮られている事すら気付いていない私って。
ほんと一体何を見ているのでしょう。
私の瞳には、一体何が映っているのか。
アタシはアタシに聞きたいです。
(恐らくこの時は、『わー着いたー、種池山荘初めてー♪』で脳内一杯。)
どしゃ降りになる寸前でテント設営完了。
三人、中に逃げ込みます。
も:『わーい、宴会しよー♪』
と、下戸ですが、宴会好きな私がノリノリで言い出す。
意外だったのですが、二人ともお酒は強かった(私の中で、その記憶は飛んでいた)。
で、早速例のレシピを。
と、更に
今回も美味しく頂きました。
そして、いい酔いっぷりの所で夕御飯。
最近のお気に入り・麻婆春雨です。
雨は強弱をつけながらもテントを叩きつけ、それも私達はおかまいなしに楽しく過ごす。
次回は何処に行く?なんて山の上で話すのって、最高に楽しい時間。
天気とかピークハントとか、どうでもいいと思える幸福感に包まれながら眠りに就きました。
2014 6 29 雨
ハイ。
雨です。
この時点で既に爺ヶ岳山頂を目指す気なんて毛頭ありません。
だって何より視界がない。
雨だし。
朝食を摂って、テント撤収。
下山です。
高度を下げれば、やっぱり晴れているようで。
視界が開ける。
で、私はといえば。
この後、偶然にもガシガシ登ってくる人がいるなーと思ったら、
なんと厳冬期の阿弥陀を一緒に登って下さったY氏だった。
山の上での再会に喜び握手し、私達は下山。
この光景が、目に焼き付いてるなー。
途中からは雨も止み、道も楽だからピクニック気分。
次回は晴れてる時に登りに来ようね。
無事に下山しました。
下山して、じゃあまず先に温泉、ってことで薬師の湯へ。
でも、温泉以上に嬉しかったのが。
お&せ:『やった!今日は飲める!!』
と、電車で来た彼らは、最高に嬉しそうな顔して飲んでました。
この二日間で、一番いい顔をしてたのがこの時だったのはナゼダロウ。
そしてお次は、大町でお待ちかねのソースカツ丼。
もの凄く満腹になりました。
家に帰ってからは、いつも下山しても体重が落ちない!と言う私の話から火が付いて、
三人で体重の比べっこ。
ちょっと待って、と言いながら上着を脱いだりするおぎちゃん。
やることが小さいよ、と二人で突っ込んでいたが、日頃 六甲山をトレランしている彼の体脂肪率は
なんと10%を切っていた。
そしたらせーごくんの番になったら、せーごくん
せ:『ちょっと、これ持ってて。』
と思いっきり真面目な顔して、私に重いメタルの腕時計を渡してきた。
・・・二人共、山男のクセにちっさいよ、と私に罵倒されながらも体重計に乗ってみると。
せーごくんも体脂肪10%を切っていた。
・・・・・。
私の体脂肪が落ちないのは、やっぱりおやつのせいなのだろうか。
でも、あれがないと登れないし。
とにもかくにも楽しかった同窓会山行。
また三人で行きましょう。
<完> 本当に家の近くでカッコーが鳴いている、と驚いていた二人。また遊びに来てください。
コメント
もおすけさん
はじめまして。
今年の春位にたまたま去年行かれていた北アルプスの縦走の記事にたどり着きました。
女の人、ソロでしかもテント背負ってなんて…
でも憧れでした!!!
が、友達と行こうと思っていた今年の雲ノ平縦走が台風で流れて、
もおすけさんのブログに触発されて初めてのソロ!初めての3泊テント!をしてきました。
まだまだもおすけさんほど歩けないですが、いつかどこかのお山でご一緒できたらなーっと
いつもブログを楽しみにしています。
今年の縦走の話もすごく楽しみにしています!
rumi_rumiさんへ
初コメント、ありがとうございます!!
そしてソロテント泊デビュー、本当におめでとうございます。
そうですよね、女子で一人って男性が思う以上に勇気がいるものです。
これは女子でないとわからない事だと思います。
だって、体調崩しても雷鳴り始めても、クマに出会っても全て一人で対処しなくちゃいけないんだもの。
そういう時により体力的に大きなハンデがある、と私は思っています。
それにしてもすごいですね。初で三泊。
リスクは男子より沢山ある山ですから、これからもどうぞ慎重に、そして楽しんでくださいね。