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【おさるのもおすけ日記】2014南アルプス大縦走20・完結編

新人・くり坊。

入社三日目にして、業務報告をしてくれる律儀さとは裏腹なこの毒舌。

く:『親方、仕事終わりました。』

・・・誰が棟梁じゃい。

かと思えば、いつものイデぞうくん。
朝一番で男子トイレを掃除しているワタクシに背後から挨拶したかと思いきや、

イ:『あのー、ボクひらめいたんですけど。』

も:『何が。』

片手に便器ゴシゴシブラシを持つ私に、彼は続ける。

イ:『もおすけと呑もう会!って声掛けたら、みんな集まると思うんですけど。』

も:『えー、そうかなぁ。じゃあイデぞう企画してよ。
そしたらブログで呼び掛けるよ。でもって“イデぞうも来るよ!”って書いたら
お店の常連さんも来たりして。』

イ:『“イデぞう”で来るかなー。』

も:『来るよ。ヨーシ、ついでに“くり坊もくるよ!”って書いとこう。』

イ:『で、僕ら三人しか集まらなかったりして。』

も:『それでもいいよ、そしたらくり坊歓迎会だ。』

なんだっていい。
三人揃えば楽しい飲み会に決まってる。
と、そのイデぞうが言うには。

山の上だと(白馬山荘とか)来れる人も限られるが、冬のこの時期、
下界で集うなら、集まるかもよ?って。

松本までどれだけの方が集まるかは謎ですが、イデぞうくんのこの思いつき。
面白そうです。

しまちゃんといい、イデぞうといい。

なんだか今年は周りの人の方がアクティブ。
ならばどんどん乗っかって行こう!
人生、アクティブに動いたもの勝ち!
2015年は今まで以上に、行動範囲も交友関係もどんどん広げて行きますよ。

あ、では極寒の地からおくる真夏の大縦走報告。
いよいよ完結編です。

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【おさるのもおすけ日記】2014南アルプス大縦走20・完結編

2014 8月14日 早朝

イヤもう残念。

だぁってまたしても雨なんですもの。

最後のピーク位、聖岳のように晴れて欲しかったわー。
でも、悪天候に気持ちが左右される事もなくなった平常心のワタシ。

人って強くなるものね。
朝食を終え、最後の山に向かいます。

ずーーーっと降っている雨。
まずは26座目の茶臼岳に到着。
先着の方にシャッターを押して頂く。

真夏の雨山行は、暑くても蒸れないこれが一番です。

140814_風であおられつつも。ツェルトをポンチョ代わりにするのが一番。

ここから先は、晴れていたら最高なトレッキングコースばかりだった。

あーあ、晴れていたら最高のお散歩コースなのになぁ。

そんな風に思いながら歩いていく。
既に靴の中はビシャビシャだが、雨で濁った茶色い水は出来るだけ入れたくない。
27座目の易老岳も通過して。

既に川になりつつある登山道の端を歩きにくく歩き、木道へ出た。

140814_1いとメルヘンかな(晴れていたら)。

この南アルプスで初めて知った地図上の『ゴーロ』って、
本当にゴーロゴーロなのねー

とか思いながら急登も越えて、水場も過ぎて、ようやく光小屋が見えてきた。

あー、ちょっと休もー。

140814_2こんにちは光小屋さん。

ここの小屋も小さいながらとても綺麗で清潔そのもの。
少しだけ休ませて頂き、まずは山頂へ。

今回の最終ピーク、28座目の百名山・光岳です。

140814_3縦走完結!

昨日のテント場が一緒だった親子さんとも合流して、互いに
写真を撮り合って。
晴れていたら、噂の光石まで行きたかったがこの雨ですしね。

とっとと帰ります。

そして再び光小屋さんで。
やっぱり出汁もの最高。

140814_4天ぷらそば400円なり。

帰りもまた雨の中、一人黙々と歩いて。

テントに帰って午後はお昼寝。
そしたらここでトランスジャパンの1位の選手が通過して、
拍手と声援が聞こえた。

日本海から太平洋まで。

これってロマンだよなぁ。
日本海スタートで、北アルプス~中央アルプス~南アルプス~太平洋ゴ-ル。
いつかやりたいですね。

で、夕飯食べて読書したり、日記書いたりしていると再び茶臼小屋のご主人さんが

『夕飯一緒にどうだい?』と、声を掛けてくださった。

せっかくだけど、もう食べてしまっていたので
この日も宴会だけ参加させた頂く事に。
ほんと、連日連夜ありがたいことです。

で、夜は無事に光岳まで行けた報告をして、皆様に乾杯までして頂き
この日も楽しい夜でした。


2014年 8月15日

辛うじて雨は降っていない朝。

昨夜遅く、トランスジャパンの2位の選手が通過して行ったらしい。
本当にすごいなー。

この日もありがたいことに富士山は姿を見せてくれ。

140815_雲海と富士山。

最終日にぴったりの朝。

朝食を摂って、残り少ない行動食をザックのポケットに押し込み、
小屋の皆さんにお礼を言って出発です。

ようやく最終日。

140815_1もう今日の幕営地はないのか。

下山し始める頃には、薄日も射して来てほんのりとピンク色に。

140815_2茶臼小屋さんありがとう。

ここからズンズン下っていく。

下って下って、小屋を二つ過ぎて橋も渡って。
ヤレヤレ峠にようやく着いて、更に下れば来たかった畑薙ダムの大吊橋へ。

実はここ、二年前にさぶちゃんが縦走時に送ってくれた写真を見た時、

『絶対ここ行きたい!』と思った場所なのだ。

甲斐駒・黒戸尾根から畑薙ダムの大吊橋まで。

天候と時間が許す限り、他の下山口は考えていなかった。
ようやく会えました。

スケールが違います。

140815_3ね?対岸は向こーーーーーーうでしょ?

最終日のこの日も、途中小雨がぱらついたりしました。

それでも11日間、ずっと濡れた靴とテントとザックで頑張ってきたんです。
だからここでは、かなり写真を撮りました。

 遠近感が伝わらないのが残念ですが。

水面は相当下です。

140815_4それはさぶちゃんは おっかながる程。

ねえねえ先生、ようやくここまで辿り着いたねぇ。

って、こういうコトやってるとまた落とします。

 140815_5もおすけ、おっかないから早くしまって。

そうね、ごめんね。

ここで先生落としたらまた大泣きだわ。

先生をしまって対岸に渡ると、そこには男女の三人組が。
なんとトランスJの3位の阪田選手のお友達で、応援に駆けつけて来たとのこと。

バスを待つ私は、あれこれとここでも質問。
今日で11日目だと言うと

『え、全然汚れ感がないし、爽やかでそんな風に見えない!』

って。
これは、本当に嬉しかったです。

女子にとって、如何に清潔感を落とさず縦走を続けるか。
男性なら許される事も多いですが、やっぱり女子はそうはいかない。
なのでこの褒め言葉は、ここまでの健気な努力が報われたように感じられ
素直に喜んでしまいました。

その彼等に頼んで、この大吊橋で記念撮影。

誰もいないと思っていたので、こんなアングルの写真が撮れるなんて。

幸福。

140815_6もおすけ最後まで頑張ったよーーー!

橋の長さは、豆粒もおすけの大きさでわかると言うもの。

140815_7真ん中より少し右、豆粒もおすけ。

写真を撮ってもらえたはず、と来た道を戻る姿は遠目でも嬉しげ。

140815_8UPで撮ってくれてました。るーーーん♪

この後、無事に阪田選手も通過されてお友達も帰り、一人でバスを待つ。

足元を蚊に十数か所刺され、これって登り坂よりずっと苦行と思いながら。
シャトルバスで白樺荘まで行き、20分したらまた戻りのバスが出るので
慌てて白樺荘でお風呂に入り、再びシャトルバスに乗る。
今度はここで、静岡駅行きのバスを待つ。

なんてわかりやすいバス停なんだ。

140815_9一日一便だと時刻表もこうなります。

乗り物酔いしやすい私は、ここから峠道でやられながらも

休憩場所ではこんなものを。

140815_10

このおでんが最高においしかった。また食べたい位。

て降り立つ静岡駅から新幹線で名古屋まで行き、特急あさまで松本へ。

新幹線の中でこんなものまで。

140815_11近江牛弁当。

他にもお菓子やらスィーツやら、しまいには松本駅でたこ焼きまで。

実によく食べました。


今回の縦走を終え、感じたことと言えば。

私はこれまで、連日雨に降られた縦走をした事がありませんでした。

一泊二日なら、雨は問題ではない。
でもそれが連日ともなると、体力の消耗以上に
絶対に濡らしてはいけない装備への配慮や、濡れた装備に諦めつつも
使いこなしていかなければならない事や、天候の予測。
真夏とはいえ、風邪を引かないよう体調管理やその他もろもろ。

いつも以上にあれこれ考え対処しながら、早くにスタートする男性陣達を
横目で見つつ、一人で縦走を続けなければならない事は、
私にとって決して気軽な登山ではありませんでした。

何でこんなしんどい事、続けているんだろう。

晴れていればまだしも、明日も明後日も望み薄い天気の縦走。
それでも続けた今回の理由は二つ。

一つは、やはり私が少なからず山に関連した仕事をしているから。

命を左右されるほどの天候は別として、
『雨の日は登らないです。』なんて言うスタッフに、
誰しも雨天時の装備の相談をしたくはないだろう。

もちろん今回の台風が大型である事は知っていましたが、大切なのは
台風はじめ悪天候で、縦走中危険な天候になった時は
行動せずに安全な場所で停滞することかと思います。

勿論そんな天気の時は、行かないのが一番です。
私もこれだけの長期休暇&この職業でなければ、
ここまではしなかったかも知れません。

今回の縦走に当たって、帰ってきてから行動経過・幕営&停滞と
行動内容全てを正直に、山岳会はじめ、元県警レスキュー隊の方や
プロのガイドさん達に報告しました。

正直誰かに叱咤のお言葉を頂くかと思いきや、驚くことに全員口を揃えて

『別にそれで良かったんじゃない。いい経験できたじゃない?』って。

・・・叱られるかと思いきや。

プロの方って、違うなぁ。

「いい経験」で済ますもんなぁ(アタシは最後までビビりながら縦走してた)。

勿論あのような悪天候であれば、私も他の人には勧めません。
ただ、危険な状態をどこで安全に停滞してすべき対処方法は何か。
今回は、それを大きく学べたと思います。

でも家族はじめ友人達に多大な心配を掛けさせてしまった事は、
本当に申し訳ないと思っています。
皆様ごめんなさい。

そしてもう一つの理由は。

今回に限らず、なぜ私が山を続けているかと言えば

『唯一自分を強くしてくれる場所』だから。

途中でバテても、誰かに重い荷物を背負ってもらえるわけではない。
靴擦れしてアキレス腱傷めて爪が剥がれたとしても、
自分の力だけで歩かねばならない。

その事自体が私を強くするのではなく『あの時だって頑張れたのだから。』と、

山だけでなく、日々の中でも次々にやってくる試練の時に
自分を鼓舞するための礎。
その為に登っていると言ってもいいでしょう。

事実、私は山をやる前に比べたら随分と強くなったと思います。

どうしても越えられない壁もあるけど、それでも何ものにも囚われない。
そしたら、どんどん楽しい事が増えて、どんどん大好きな人達が増えてきた。
私を幸せにしてくれてるのは、いつも楽しい私の周りの人達です。

だから、私ももっと強くなっていつでも誰かを受け入れることのできる
器の大きな人になりたい。

それは、私が命を預けてザイルを結べる山仲間だったり
いつも大切な事を教えてくれる、人生の先輩方や友達だったり。

恋人とか家族だけじゃなく(これは当たり前)、沢山の人に愛情を配れる人。
そういう人になるのが目標。

だからもおすけは、これからも登って行くのです。


橋を渡る前に、ふと頭に浮かんだ台詞。

も:『嗚呼、ここを渡ったら もう後ろには引き返せないな。』

その後ろが何なのか、戻れないと感じた事は何なのか。

自分でも全くわからず、この台詞が浮かんだ自分に驚いたほどでしたが
私の中の細胞がそうサインを送ってきたという事は、そういう事なのでしょう。

2014年、夏。

トシくんの言う所の『悪天候だからこそ、得られたものも大きかったのでは。』と
いうものが、どれほどのものなのか自分ではあまり自覚がありません。

今だ、ぐうたらで進歩より後退を痛感せざる得ない日々のもおすけですが、
それでもこれからも前に進んで行きたいと思います。

長々と読んで頂き、ありがとうございました。

140815_12

 ここから先へ

 もおすけの山に登る道は、まだまだ続いているようです。

<完>


コメント

  1. d3 より:

    こんばんは!
    はじめまして!d3と申します。
    やっと読了!(ここまで)
    すっごい元気いただきました!ありがとうございます!
    これからも、楽しみにしてます。
    ^^g

    • moosuke より:

      d3さんへ

      こんばんは!初めてのコメントありがとうございます!
      やっと読了・・・とは、始めはどこから?
      このもおすけ日記vol・2かしら?いづれにせよ、読んで頂きありがとうございます。
      お礼の言うのはわたしの方ですよ。
      このブログで、どこで元気になって頂けるのか自分では皆目見当がつかないのですが・・・
      有難いお話です。
      私はd3さんのコメントで元気を頂きました!
      これからも
      どうぞよろしくお願い致します。
      遅筆ですが・・・。

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